はじめに

先日、秋葉原を彷徨していると、ジャンク通り最奥のアールガーデンに、RYUTEC R-150Aなる製品が茶箱入りで山積みされていました。

価格は強気の3,000円也。

どうも遠隔監視カメラ用のIPサーバみたいなのですが、説明書も付属のソフトウェアも無く、よくわかりません。

店員さんに聞くと、買っていく人は5台とか買っていくそうな。

上手くいくと、ロケーションフリーみたいなことが出来るんではないか、と淡い期待を胸に2台購入、早速家でハックしてみることにしました。

製品の概要

それでは早速、製品の概要を見ていきましょう。

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まずは製品正面から、「RYUTEC」のロゴとLEDのインジゲータがある以外はボタンも無く、非常にシンプルです。

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続いて、製品背面から、左から順に「POWER」「MIC」「SPEAKER」「RELAY」「SENSOR」「RS-485」「RS-232」「VICEO IN」「VIDEO OUT」「LAN」で、「POWER」の上に「RESET」が配置されています。

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最後に、製品下面から、見づらくて恐縮ですが、製品名である「R-150」はここに記載されています。

分解してみると…

中身にもちょっと興味があるので、分解してみました。
筐体の構造はとてもシンプルで、左右2本ずつ、背面1本の計5本のネジを外すと、天板を外すことができます。

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中身はこんな感じです。
搭載されているICを見てみましょう。

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光の加減でシルク印刷が映らず、わかり辛くて申し訳ないのですが、手前のi82559みたいなICの刻印はStringARM 6DS1110BDで、今は亡きStrongARM SA-1110です。
そういえば、IntelもARMプロセッサを作ってましたよね…なんだか感慨深いです。

奥のHynix HY57V641620は8MBのSDRAMです。
写真は無いですが、基盤の裏面にも同じSDRAMが搭載されていますので計16MB、多分StrongARMの主記憶用メモリだと思われます。

その右隣のLattice ispLSI 2096VEはProgrammable Logic、何のためにあるのかは不明です、その隣のピンコネクタでロジックを書き込むのでしょうか?

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それ以外のICとしては、Real-time MPEG4 video encoderのIntime IME6410、低価格のアナログTVキャプチャカードでよくお目にかかるPAL/NTSC/SECAM video decoderのPHILIPS SAA7114H、10Base-Tの組込イーサーネットコントローラのCS8900A、そして2MB Flash-ROMのIntel TE28F160が搭載されています。

写真はないですが、基盤の裏面には8MBのSDRAMであるSAMSUNG K4S643232Fも搭載されています。
これは多分Intime IME6410のワークメモリと思われます。

製品の概要とマニュアル

製品に刻印された商品名から色々調べると、以下のようなことが判ってきました。

製品は「琉テック」という会社の「R-150A」。
発売元は沖縄の会社で、すでに倒産。
韓国CRYPTOTELECOMのOEMで、同社製品「S-150」のリマーク品?

マニュアルはここからダウンロードできるようです。

スペックは、動画の最大解像度が640×240ピクセル、フレームレートは最大30fps、ビットレートが最大2000Kbpsの模様です。

IP Installerの入手

マニュアルにも書いてあるのですが、本体の設定をするにはIP Installerというソフトウェアが別途必要です。
最新版は琉テックのホームページからダウンロードするよう記載があるのですが、会社自体が既に倒産していてないですし(現在のryutec.jpは別の会社のようです)、製品にはCD-ROMは付属されていないので、一瞬「嵌められたか…」と思ったのですが、インターネットを丹念に探していくと、当該ソフトウェアを配布しているページが見つかりました。

IP Installer配布ページ - iCanTek Co.,Ltd.
iCanTek Co.,Ltd.

※ ダウンロードにはユーザ登録が必要なので注意してください。

このページから入手した「ipinstaller_V3.0.1.zip」をダウンロードし、ファイルを展開して、2つのソフト「IPInstaller_V3_0_1_eng.exe」「WinPcap_3_1_Install.exe」をインストールしてください。

インストールが完了したら、製品に同梱のクロスケーブルでPCのLANポートとR-150Aを直結し、デスクトップ上のショートカット「IP Installer」を起動し設定してください。

設定後、

http://[R-150AのIPアドレス]/admin.htm

にアクセスして本体の設定を行ってください。
ブロードバンドルーターやADSLモデムみたいなWebインターフェースで設定が出来ます。
尚、初回接続時に要求されるIDとPasswordですが、それぞれ「root」「12345678」となっています。(これも説明書に書いてあります)

映像ソースとの接続

設定が環境したら、製品に付属しているBNC⇔RCA変換コネクタを使い、映像ソースと接続します。
うちでは秋月電子の通販で買ったカメラモジュールを使っていますが、多分地デジチューナ等をつなげても上手くいく(コピーガード信号等は検出しない)んじゃないかと思います。(未確認)

ブラウザを利用したストリーミング表示

本製品の簡易的な使い方として、ブラウザからストリーミング再生することが出来ます。

Internet Explorerから

http://[R-150AのIPアドレス]

にアクセスしてみてください。

初回はActiveXのインストールの確認画面が出るので、これをインストールすると、映像がストリーミング再生されるはずです。
尚、Internet Explorerの代わりにFirefoxで試してみましたが映像は出ませんでした。(OCXが動かないので当たり前か…)

NVRソフトウェアの利用

上記ではブラウザを使ってストリーミング再生を試してみましたが、ブラウザではストリーミング配信された画像を保存したり、複数のストリーミング配信データを同時に再生したりすることはできません。
この手のIPストリーミング機器にはNVR(恐らく「Network Video Recoder」の略語)と呼ばれるソフトウェアが提供されており、それにより配信データの保存や複数再生ができるようになっています。

私が試したところ、R-150Aでは、先ほどのIP Installerの配布ページからダウンロードできるiNVRというソフトがNVRとして使えるようです。
「iNVR_2.11_setup_oem.exe」をダウンロードし、インストールして試してみてください。

尚、R-150AのOEM元と思われるCRYPTOTELECOMのNVRは使えませんでした、参考までに。

活用方法

ということで、駆け足でR-150Aをハックしてきましたが、結果からいうと、動画の最大解像度が640×240なのがちょっと残念ですが(Real-time MPEG4 video encoderのIntime IME6410は720×480@30fpsまで対応しているので、もしかしたらファームウェアの更新で最大解像度が上がったりするのかも?)、そこにさえ目を瞑れば、監視カメラのストリーミングサーバとしては十分使えます、これ。

ADSL等のネットワーク回線とルータ、RCA接続のカメラ、そしてこの機器さえあれば、PCレスでライブカメラ環境を構築できますし、画像の動き検出をかなり細かく設定できたり、DHCPによるIPアドレスの変更をメールで通知してくれたりと、痒いところに手が届くプロ仕様の機器です。

また、機器背面にRS-485端子が出ていて、これをブラウザとNVRソフトウェアから制御できる為、RS-485からのP/T/Z信号を赤外線リモコンのコマンドに変換するようなハードを別途製作すれば、遠隔地からTVチューナのスイッチを入れたり、チャンネルを変えたりすることも出来そうです。(ハードルはちょい高いけど…)

私のハックはここまでですが、だれかRS-485からのコマンドを解析して外付の地デジチューナを制御するハードとかを設計してくれたりすると、みんな幸せになるのじゃないかと思います、宜しくです。


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