はじめに

先日久しぶりに秋葉原を訪れると、PCNETでTS-WVH4.0TGL/R1のハードディスクなしが3,980円で売られていました。
TS-WVHL/R1は、CPUにIntel ATOMを搭載した高性能なTeraStationで、色々と遊べそうなので早速購入。

このページでは、「きほんのき」である出荷状態に戻す方法を簡単にまとめておきます。

TS-WVHL/R1について

色々検索してみましたが、TS-WVHL/R1のスペックは以下の通りです。

CPU Intel AROM D510 (1.66GHz 2C4T)
Memory 2GB
HDD SATA 2スロット
LAN GbE×2
USB USB3.0×2、USB2.0×2

前面のカバーを開くと右下部にRGB出力があり、モニタに繋げてから電源投入すると、PCでは見慣れたBIOS画面が出ます。
また、背面のUSB端子(黒い方、青い方ではない)にUSB接続のキーボードを接続すると、キーボードで操作できます。

ということで、形こそNASですが、中身はPCです。

Linuxとか、FreeBSDとか、Windowsとかをインストールして使えますが、それは後にとっておいて、まずはNASとして使えるようリカバリしていきます。

必要なソフトウェアの入手

TS-WVHL/R1のリカバリには、Buffaloから提供されている2つのソフトウェア

が必要になります、これらのファイルを予めダウンロードしてください。

TS-WVHL/R1では、ARM版やPPC版のTeraStationでは出来たTFTPを利用したリカバリ方法は使えません。
USBメモリのリカバリ用ブートイメージを入手し、それを使ってUSBメモリからブートしてリカバリします。
しかし、残念ながらTS-WVHL/R1用のリカバリ用ブートイメージは配布されていませんので、TS-5000N用を入手し、それをカスタマイズして利用します。

当然ですが、リカバリにはHDDが2本必要になりますので、予め用意してください。

また、リカバリ作業用に

が必要になりますので、こちらも準備をお願いします。
Linux PCは、リカバリ用USBメモリの中身を編集するのに使います。
WindowsでLinuxパーティションを読み書きするツール(Ext2Fsdなど)を使えるなら不要です。

リカバリ用USBメモリの作成

先ほどの「必要なソフトウェアの入手」で紹介したページから、それぞれ「TS5k_recovery_???.zip」と「tsv-v???.exe」というファイルをダウンロードします。

「TS5k_recovery_???.zip」を展開すると、USBイメージの本体「TS5000V?.?bootUSB.ddi」と、DDWinの実行ファイルが入っています。
このイメージファイルを付属のDDWinを使ってWindows PC上でUSBメモリに焼きこみます。
(USBメモリ上のデータはすべて消去されるので注意してください!)
作成したUSBメモリは、ext3/ext4でフォーマットされており、素のWindowsでは読めないので注意してください。

「tsv-v???.exe」はWindows実行形式のアーカイブファイルで、実行するといくつかのファイルが展開されます。
展開した先にできる「TS-V_FW?.??」フォルダ内には以下の3つのファイルが格納されています。

hddrootfs.img HDDに展開されるrootファイルシステムのアーカイブ
initrd.img インストール時にRAMに展開されるRAMDISKのイメージのアーカイブ
uImage.img カーネル本体のアーカイブ

これらの3つのファイルはいずれもzipアーカイブで、そのままでは使えないので、それぞれ解凍しておきます。
各zipアーカイブには、パスワードがかかっていますが、以下のどれかで解凍できます。

zipアーカイブに掛けられているパスワードの候補
1NIf_2yUOlRDpYZUVNqboRpMBoZwT4PzoUvOPUp6l
aAhvlM1Yp7_2VSm6BhgkmTOrCN1JyE0C5Q6cB3oBB
YvSInIQopeipx66t_DCdfEvfP47qeVPhNhAuSYmA4
IeY8omJwGlGkIbJm2FH_MV4fLsXE8ieu0gNYwE6Ty

解凍が完了したら、それらのファイルをUSBメモリのルートフォルダにコピーします。(一つのファイルは上書きになります。)
USBメモリへのファイルのコピーは、Linux PCか、Windows PCでExt2FsdなどのLinuxのファイルシステムを読み書きできるツールを使って行ってください。

最後に、USBメモリ内の「/grub/grub.cfg」を編集し、先ほどコピーしたファイルをリカバリ時に使用するように設定します。
このファイル内の各行を、それぞれ次の通り変更してください。

「TSUpdater.ini」の修正(編集前)
0033: 	linux	/vmlinuz-atom_usi.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes mode=rescue ts4000=no acc=no
0041:	initrd	/initrd-atom_usi.buffalo
0062:	linux	/vmlinuz-atom_usi.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes mode=initialize ts4000=no acc=no
0070:	initrd	/initrd-atom_usi.buffalo
0091:	linux	/vmlinuz-atom_usi.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes console=tty0 console=ttyS0,115200 mode=install ts4000=no acc=no
0099:	initrd	/initrd-atom_usi.buffalo
0120:	linux	/vmlinuz-atom_usi.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes console=tty0 console=ttyS0,115200 mode=debug ts4000=no acc=no
0128:	initrd	/initrd-atom_usi.buffalo
「TSUpdater.ini」の修正(編集後)
0033: 	linux	/vmlinuz-atom_d510.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes mode=rescue PRODUCTNAME=TS-WVHL PRODUCTID=0x00002012
0041:	initrd	/initrd-atom_d510.buffalo
0062:	linux	/vmlinuz-atom_d510.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes mode=initialize PRODUCTNAME=TS-WVHL PRODUCTID=0x00002012
0070:	initrd	/initrd-atom_d510.buffalo
0091:	linux	/vmlinuz-atom_d510.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes console=tty0 console=ttyS0,115200 mode=install PRODUCTNAME=TS-WVHL PRODUCTID=0x00002012
0099:	initrd	/initrd-atom_d510.buffalo
0120:	linux	/vmlinuz-atom_d510.buffalo root=sde1 rw  usbboot=yes console=tty0 console=ttyS0,115200 mode=debug PRODUCTNAME=TS-WVHL PRODUCTID=0x00002012
0128:	initrd	/initrd-atom_d510.buffalo

上記は、TS-WVHL/R1用の設定ですが、TS-QVHL、6VHL、8VHL、RVHLでもPRODUCTNAMEとPRODUCTIDを変更することにより、おそらく同じようにリカバリできる気がします。
参考までに、PRODUCTNAMEとPRODUCTIDの対応表を載せておきます。
(玄箱のコードネームは徳川将軍でしたが、TeraStationは歴代天皇なのですね…)

PRODUCTNAME PRODUCTID コードネーム
TS-QVHL 0x00002013 SAIMEI
TS-6VHL 0x00002014 TENNJI
TS-8VHL 0x00002015 KOHBUNN
TS-RVHL 0x00002016 JITOH

これでリカバリ用USBメモリの作成が完了しました。

ファームウェアアップデータの設定ファイルの編集

上記で作成したリカバリ用USBメモリですが、実のところTS-WVHL/R1をEMモードに移行させることまでしかできず、EMモード移行後にWindows PCからTSUpdater.exeでファームウェアを流しこんでやる必要があります。

そのため、予めTSUpdaterの設定をしておきます。

先ほどWindows PCで展開した「TS-V_FW?.??」フォルダの中の「TSUpdater.ini」の中身を、以下のように変更します。

「TSUpdater.ini」の修正(編集前)
[Flags]
VersionCheck = 1
NoFormatting = 1
「TSUpdater.ini」の修正(編集後)
[Flags]
VersionCheck = 0
NoFormatting = 0

ここまでで、事前の準備は完了です。

リカバリの実施

それでは、いよいよリカバリです。

TS-WVHL/R1本体の電源が切れている状態で、スロット1、2にハードディスクを取り付けます。
LANケーブルでWindows PCとTS-WVHL/R1を直結、またはHUBを介して接続してください。
そして、先ほど作成したリカバリ用USBメモリをTS-WVHL/R1の背面のUSBコネクタ(黒い方)に挿し、背面右下のスライドスイッチをUSBブートに変更した上で、TS-WVHL/R1本体の電源を投入します。

5分程度経過したら、Windows PC上で、展開した「TS-V_FW?.??」フォルダの中の「TSUpdater.exe」を実行します。
ネットワーク越しに、EMモードのTeraStationが見えるようになっている筈です。
後の設定の際に必要になるので、このとき表示される「IPアドレス」をメモしておいてください。

メモが終わったら、「ファームウェア更新」を選択します。
おおよそ15分位時間がかかりますので、気長に待ってください。
途中、TS-WVHL/R1は1回再起動しますが、気にせずLCD画面に以下のように表示されるようになるまで放置します。

LCD画面の表示
RecoveryFinished
Change Boot SW

LCDに上記の通り表示されたら、TS-WVHL/R1背面のスライドスイッチをHDDブートの方に変更し、本体の電源を投入します。

Web管理画面へのログイン

上記手順で復元したTS-WVHL/R1は、Web管理画面からブラウザで設定できるようになります。
先ほど控えたIPアドレスをブラウザのアドレスバーに「http://192.168.0.132」のように入力してください。
Web管理画面の初期ID/PWは「admin」「password」です。

これでリカバリは完了です、無事NASとして利用できるようになっている筈です。

変更履歴

2021/06/19

・BUFFALOのファームウェアのダウンロードサイトのURLが変わっていたので修正。


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【まさにこれだ】 Windows10上でのExtのマウントはext2fsdの0.53がよかったです。 https://github.com/matt-wu/Ext3Fsd/issues/14 (2022/01/22 Sat 16:52:39)

【まさにこれだ】 TS-WV2.0がよみがえりました。 ありがとうございました。 (2020/11/11 Wed 08:01:02)

【まさにこれだ】 少し苦労しましたが、TS−WVHLの再設定が無事に完了でき、ただの箱が蘇りましたwありがとうございました。 (2020/09/21 Mon 15:49:53)

【まさにこれだ】 やばい!! 出来ました! 死んだTERAステーションを無事ディスク無状態から回復させました!助かりました!!神 (2020/02/15 Sat 10:31:10)

【まさにこれだ】 TS-8VH16TL/R6(2TBx8搭載)でVer1.31(tsv-v131)のファームにて成功しました。最初はTSUpdater.exe実行後にフォーマットに失敗しましたと出てうまくいきませんでしたが、そのままTSUpdater.exeを2回更新したところ成功しました。ありがとうございます。 (2019/05/02 Thu 17:37:17)

【まさにこれだ】 苦労したが完全に設定できた。 (2019/04/05 Fri 01:36:17)

【まさにこれだ】 この方法にて勤務先で捨てられたTS-QVHLのSSD化してのリカバリができました.本当にありがとうございました.Ext2Fsdとエディタでファイル書き換えとファイル追加をしたつもりがUSBメモリに反映されてなかったりしてしばらくさまよいましたが. (2019/02/28 Thu 18:05:04)

【まさにこれだ】 大変助かりました。表記の方法にて「TS-6VHL」のリカバリが可能になりました。ただしそのままではうまくいかなかったので、起動ファイル名の書き換えとcfgファイルの一部訂正をした上で動作確認ができました。ありがとうございます。 (2018/10/12 Fri 00:26:35)

【まさにこれだ】 まさにこれだ! で、リカバリーに挑戦したのですが、USBメモリーから起動し液晶にFW Updatingまで表示されましたがLANポートが動作しません。 使ったファームが TS-V131 2018年1月24日 と新しいので対策されちゃったんでしょうかね? (2018/05/01 Tue 23:04:28)
→ LANポートが動作しないということは、TSUpdaterがTeraStationを見つけられないということでしょうか? ・Windows PCのIPアドレスをDHCPではなく、固定IPアドレス(192.168.0.2や192.168.1.2など)に設定する。 ・TeraStationのもう一方のLANポートにつなぎ替える。 あたりで回避できそうな気がします。